家を建てる事は、人生最大のワクワクするイベントの一つで、一生モノのお買い物と言われますよね。
ですが、理想(間取りや外観)と現実(限りある予算や土地の広さ)の間で、ともすれば、一体何がベストなのかわからなくなってしまう事もあります。
今日は、そんな悩みを抱える方に、「間取り相談」についてお話ししたいと思います!
間取り相談とは?増えています!「間取り迷子」
「間取り迷子」という言葉をご存知でしょうか?
近年、Instagramやインテリア系SNSなどでよく見かける言葉で、家を建てる事にしたけれど、設計士さんと話を詰めていく中で何が正解かわからなくなってしまって、間取りが定まらない事です。
「建坪抑えるため無駄のない間取りにしたい、動線の良い1階を作りたくて色々考えましたが、果たしてこれが正解なのか…」
「設計士さんとの打ち合わせで、だいぶ煮詰まって来ました!まだ直すけど。笑笑!もう4月から、ずっと間取り悩んでいるらしい。www!!」
「希望の駐車場を実現しようとすると… 東側がら空きー!\(^-^)/ やり直し・・・気になる点もいくつかあるので再検討。 む、む、むずかしい。」
・・・というように、SNSでは迷子さんたちの、失敗やアドバイスをシェアする赤裸々な言葉であふれています。
間取り相談=「間取りのセカンドオピニオン」
そこで注目されているサービスが、「間取り相談」です。
主治医の診断に納得がいかない場合、違う医師に診断してもらうことをセカンドオピニオンと言いますが、同じように別の設計士が間取り図を見直して、不満に感じている点などに改善点のアドバイスを行うサービスです。
間取りで「失敗した!」と後悔しやすいところ
間取りを相談する時に、どんなところに注意をして、自分の希望を伝えていけばよいのでしょうか?家を建てた先輩たちが、しまった!!と後悔してしたところを具体的に見ていきたいと思います。
収納
- 物をしまうだけと、奥行きや幅を気にせずに収納を作ったら、布団が入るだけの奥行がなかったので、収納できなくなってしまった。夏に分厚い掛け布団をしまう場所がなくて本当に困った。
- ウォークインクロゼットの奥に書斎を作ったら、通路を確保するために、荷物があまり置けなくなった。
- 大型収納が2階のロフトだけ。大きいものや重たいものも階段とはしごで運ばなければならず、歳をとったら怖いと思い始めた。
- 階段下に収納を作ったが、小窓か照明をつけるべきだった。昼間でも暗くてものを探すのが大変。
広さ
- 憧れの広いリビングを作ったはいいが、広すぎて冷暖房効率が落ちてしまった。
- 解放感を求めて吹き抜けを作ったら、見晴らしは良いが、そのスペース分だけ2階の床が狭くなってしまった。
- 和室が4.5畳と狭すぎて、来客が2人以上だとかなりきつい。せめて6畳にするべきだった。
- 寝るだけの部屋だと思って、寝室を7畳にしたが失敗だった。テレビと棚を置いたらダブルベッドがキツキツで歩く場所もない。
音、視線
- 浴室を道路側に作ったので、子どもが騒ぐ声やそれを叱る親の声が、通りに丸聞こえ!
- 寝室の隣にトイレを配置したら、夜に家族がトイレを使う音が気になって落ち着いて眠れない。
- 外からの視線を気にせずに玄関付近の部屋の間取りを決めてしまった。リビングのドアを開けて玄関を開けると外からリビングの中が丸見え。
配線、動線
- テレビ配線はダイニングにも必要だった。食事中や食器洗い中にテレビを見たくても遠くて見えない。
- キッチンでよく使う調理家電は多いのに、コンセントの数が足りなかった。数カ所につけるべきだった。
- 玄関横に階段を配置したら、子どもが帰宅後リビングには寄らずにすぐに自分の部屋に行くようになってしまった。親子の会話が少なくて寂しい。
明るさ、気温、匂いなど
- 玄関ホールや玄関ドアには窓をつけなかったら、玄関全体が昼間でも暗い。
- オープンキッチンは、夏、料理の熱がLDK中に広がって暑い!間仕切りがないから冷暖房も効きにくい。
- 大量収納を考えて大きなシューズクローゼットを作ったが、中に靴のニオイがこもってしまう。シューズクローゼットの扉を開けるたびにニオイが気になって不快。換気口をつけるべきだった。
間取り相談のメリット&デメリット
ここでは間取り相談をするメリットとデメリットを解説します。
間取り相談のメリット
- 第三者の建築士に見てもらうことで、客観的にアドバイスをもらえて、不安に思っている部分の間取りが良くなる。
- 間取りの問題点を多く見ているので、施主が気づかない点まで指摘してくれる。
- 納得いくまで話したので、後悔が減る。
間取り相談のデメリット
- 余計に費用がかかる。打ち合わせを繰り返すことで高額になることも。
- レベルの低い建築士だった場合、大して変わらない場合もある。
どんな人に間取り相談が必要か?
同じ家に住んでも、人によって満足度が違うように、どんな家でも完璧な間取りというものはありません。間取り相談をしなくても、満足して住み続けている人もたくさんいます。では、どんな人に間取り相談が必要なのでしょうか?それは、以下のようなケースです。
- 設計担当者と信頼関係ができていない
- 今の間取りが気に入っていない、心配がある
- 家の打ち合わせに満足感がない
このようなケースの場合は、間取り相談を受けることをお勧めします。この状態のまま建てて、問題が出てきた時、やはりあの時ああすればよかった・・・という後悔が大きくなってしまうからです。
間取りの改善だけではなく、自分たちの選択に自信を持つために、間取り相談はあると言ってもいいかもしれません。
実際に家を建てた体験から感じたこと
私も5年程前に注文住宅の家を建てました。最初は毎週のように住宅展示場に通い、話を聞くだけなら10社以上の営業の人たちとやり取りをしました。
夢のような豪華な間取りの家、おしゃれな生活がイメージできるこだわりの家、新しい設備満載の機能的な家、古民家風のシックな家・・・。どれもとても素敵に見えました。
その中で私たちは、リアルサイズの展示場を謳い文句にしているメーカーさんと出会いました。そこで、見えてきたのが、自分たちがリアルな生活の中で何を望んでいるのか、という事でした。
自分たちの人間像を考える
家を作るには、自分たちがどういう人間で何に重きを置いているのか、見つめ直す必要があります。
例えば、私たちは、収納を作るために玄関をとても広くしました。セパレートタイプで動線が二つに分かれています。そこに、たまに使う季節物やゴルフクラブ、ベビーカーなどかさばる物を収納しています。
庭が広いので、普段使わないものは物置を置いて収納するという手も考えられますが、それはしませんでした。なぜなら物置には虫やクモが出やすいからです。
虫なんて大したことじゃない、と思われるかもしれませんが、私のパートナーは、見た途端逃げ出すほど虫が苦手なのです。ここを考えずに収納を外にしていたら、おそらく後悔をしていたことでしょう。
ライフスタイルを考える
自分たちがどのような生活を望んでいるのか、またライフステージが進むと家族関係はどう変化するか、ということも大事な要素です。私たちは複数の友人家族を招くことがあります。その際に便利と思い、ダイニングは畳にし、小上がりの6畳間にしました。
大きなダイニングテーブルでワインを、というしゃれたスタイルではなく、低いテーブルを二つ並べて居酒屋風にわいわい盛り上がります。そんなスタイルがしっくりくる畳ダイニングにして、私たちは正解だったと思っています。
また子どもが3人いて、そして私たち夫婦もデスクワーク中心の仕事なので、家のあらゆるところに、一人で集中できるスペースをいくつも作りました。
小屋裏は書斎に、寝室にもワークスペースを作り、2階ホールはカウンターをつけてパソコンや書籍を置き、畳ダイニングのキッチンカウンターも勉強スペースになります。
受験生がいる年は、集中しやすい場所で勉強してもらえますし、他の子どもが邪魔をすることも少なくて助かります。
後悔しない家作りとは
私たちは「間取り相談」と呼べるものはしませんでしたが、聞けることは遠慮なく聞いていきました。また、設計士さんも何度も考え直しをしてくれ、アドバイスもくれ、いい家ができたと思っています。
「自分たちが納得するまで考え尽くすこと」、「設計士さんに遠慮せず最後まで希望を伝え続けること」ができれば、たとえ後で不具合があっても、後悔ばかりではなく、そんなところを改善していくことも一つの楽しみとしていけるのではないかと、感じています。
それが「後悔しない家作り」になっていくのではないでしょうか。活用できるものはどんどん活用して、自分たちらしい間取りをぜひ完成させてくださいね!